助産師という職業

『助産師』という職業をご存知ですか?


まだ妊娠や出産の経験がない方や男性は知らない方が多いかもしれません。

助産師と聞くと、一般的には出産を介助する人、というイメージが一番強いと思います。
出産時に初めて出会う方もいることでしょう。⁡


今回は産婦人科クリニックで働く助産師のお話です。


私も、15年間、ずっと病院やクリニック(=診療所のこと)で出産の場面をケアする助産師でした。
病院とクリニックの違い、それは簡単に言うと病床数です。


(クリニックは19床以下、病院はそれ以上という分類になります。
病院にも総合病院や大学病院という違いはあります。)


私がクリニックで働いていた時は助産師外来と言って、妊娠中に外来でエコーをしたり、マタニティクラスでいろんなお話(保健指導という)をすることもありました。

出産は予定日が決まっていますが、予定日ぴったりに産まれることはとても珍しいことで、正直いつ産まれるかはわかりません。

そういうわけで、出産の場面をケアする助産師は、いつ起こるかわからない陣痛や破水に備え、常にスタンバイしています。
ですから、夜勤もあります。クリスマスや大晦日、お正月はありません。


満月や新月、台風の日や満潮の時に出産が増えるのは事実で、その度に覚悟を決め、勤務に入ります(笑)
不思議なほど静かな日もあれば、笑えるほど電話が鳴りっぱなし、の日もあります。

赤ちゃんが産まれたい!産まれよう!と決めたら、待ったなし🤣

しかし、その合間で緊急事態が起こり、手術や救急搬送、といったことに対応しなければならないこともあります。

特にクリニックでは、夜勤のスタッフ2名と当直医師が1名、という状況で夜勤をします。
もちろん緊急帝王切開時には宅直の医師と宅直スタッフが待機していて、呼ぶとすぐにかけつけてくれます。

そんな中で、ナースコールが鳴ります。

「陣痛耐えられません😭」

「赤ちゃんが泣き止みません😭」

「おっぱいがうまく吸えません😭」

「傷が痛いです😭」


うんうん、そうだよね、そうだよね〜。


「ちょっと待っててね‼️今お産中だから(手術中だから)30分後に行くね😣」


もちろん、すぐに行ける時には飛んで行きます。でもこんな場面も多々。


入院中の方は
「忙しいのにナースコールしちゃってすみません😣」とおっしゃいます。


それが緊急性のないものであれば、
「忙しそうだから申し訳ないな」
「こんなことでナースコールしたら迷惑かな」
と思い躊躇や我慢をしてしまいます。

そして退院して、何となく不安な中で何となく産後の生活と育児を始めていく。

そんな中で、退院後に不安なことやわからないことがあると・・・
すぐに頼れるのが、『スマホ‼️』24時間365日、休まず営業。

だからいつでも、誰でも、どこでも、『相談』、ではないけど、『検索』ができる。


でも・・・そこから得られる情報が自分と赤ちゃんにどこまで通用するか?
むしろ不安を煽る情報もあります。(これは妊娠、出産、産後に関わらずですが)


本当は産んだ場所に相談できれば一番良い!
でも、そんなクリニックや病院はなかなかないです。
「いつでも相談して良いよ」と言ってもらってもやはり、「お忙しいのに相談できないや、こんなこと」って思ってしまいます。

でも、そんな小さな悩みや困りごとが、産後は大きなストレスになります。


なぜなら、それは自分自身、ではなく、赤ちゃんに直結する問題だと、ママ自身がわかっているからです。
だから、このままではいけない、でもどうしたらいいかわからない、という状態がが大きなストレスとなります。

それが積み重なると、
「自分が母親としてのスキルがない」とか、

「みんなやってるのに、できない自分に母親としての価値がない」
とまで考えてしまい、育児ノイローゼや産後うつ、虐待につながるリスクであることは紛れもない事実です。


だから、私は分娩介助から離れ、
産前と産後に頼れる助産師になりたい!なろう!と決意したのです。


病院やクリニックで産む方ももっと気軽に、でもしっかり産前・産後のケアを受けることができたら、と。

そして私はクリニックを辞めました。

…次回に続きます。

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